冬蒔いてきた。
市場に並ぶ野菜や魚は、その季節を表し
季節の旨味を引き出する術を
考えさせてくれる。
暖簾を潜る客人達も、そんな寒き夜は冷えた
身体を温めたいのだろう…献立板を眺め、
肴に合わせる酒を選ぶ。
焼酎ならばロック。
清酒ならば冷や酒。
…といきたいところだが、まてよ?
そう、燗つけを頼まれることがある。
そんな路地裏でひっそりと商うのも
悪くはない。
生憎、日本酒の小洒落た知識は
待ち合わせてはいないが、お猪口に浸る
味を転がし、性格を引き出す術は、
焼酎に比べれば、容易いものなのかも
しれない。
焼酎は仕込まれた醪を、蒸溜機の力で
気体となり、冷却され液体へと変わる。
麹米に山田錦や美山錦、雄町、
あきたこまちやヒノヒカリなどを用いて
蒸溜されても、その液体の中には旨味が
ちゃんと残されている。
甘くしますか?辛くしますか?
客人に尋ね、その人が食す肴に見合った
味わいに仕上げてあげるのも、
長年、燗をつけてきた経験なのだろう…。
カウンター越しの客人へ、仕事を入れた
BETTAKO流の燗を嗜んでもらえるのも、
乙なものであり、それもまた店主と客人の
やり取りの中の物語でもある。
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