BETTAKO -其の181-

冬蒔いてきた。
市場に並ぶ野菜や魚は、その季節を表し
季節の旨味を引き出する術を
考えさせてくれる。

暖簾を潜る客人達も、そんな寒き夜は冷えた
身体を温めたいのだろう…献立板を眺め、
肴に合わせる酒を選ぶ。
焼酎ならばロック。
清酒ならば冷や酒。

…といきたいところだが、まてよ?
そう、燗つけを頼まれることがある。

そんな路地裏でひっそりと商うのも
悪くはない。

生憎、日本酒の小洒落た知識は
待ち合わせてはいないが、お猪口に浸る
味を転がし、性格を引き出す術は、
焼酎に比べれば、容易いものなのかも
しれない。

焼酎は仕込まれた醪を、蒸溜機の力で
気体となり、冷却され液体へと変わる。
麹米に山田錦や美山錦、雄町、
あきたこまちやヒノヒカリなどを用いて
蒸溜されても、その液体の中には旨味が
ちゃんと残されている。

甘くしますか?辛くしますか?
客人に尋ね、その人が食す肴に見合った
味わいに仕上げてあげるのも、
長年、燗をつけてきた経験なのだろう…。

カウンター越しの客人へ、仕事を入れた
BETTAKO流の燗を嗜んでもらえるのも、
乙なものであり、それもまた店主と客人の
やり取りの中の物語でもある。

酒場BETTAKO

昭和56年創業。池袋東口で長きに渡り営み続けてきたBETTAKOは2017年12月に一度幕を下ろし、2018年2月JR板橋駅東口徒歩3分程、滝野川の路地裏で、本格焼酎・樽生ホッピー・数種の日本酒、日替り献立と共に静かに商わせて頂いております。尚、同じ屋号の酒場が御座いますが、当店とは無関係の酒場で御座います。店主敬具