BETTAKO -其の245-

青くわいを頂いた。
くわいを漢字で書すれば慈姑と書く。
一つの株根に多くの子がつく事から、
子を慈しみつつ哺乳する母(姑)の如く
見える事から名付けられた名でもある。
水稲の代かき田に7月中旬に定植し、
師走上旬に収穫される、正月料理の副菜に
用いられる事が多い食材でもある。
1kg程頂いた慈姑を、ひと粒ひと粒…延々なる
作業は無心となり、六角に剥き終える。
仕込みは苦ではない。冬の大根や冬菜など、
冬の味覚に対し、下拵えを疎かにすれば副菜に
添える事ができなくなる。

ふた晩寝かせた出し汁、味醂と少々の吟醸酒で
ゆっくりと炊いてゆく。
27cmの鍋を覗けば、ゆらりゆらりと踊る慈姑。

どう…仕上げるか、それは食材という素材を
見なければ、頭の中のキャンバスに献立という
デザインを描く事はできない。

そんな私でもある。

感謝。

酒場BETTAKO

昭和56年創業。池袋東口で長きに渡り営み続けてきたBETTAKOは2017年12月に一度幕を下ろし、2018年2月JR板橋駅東口徒歩3分程、滝野川の路地裏で、本格焼酎・樽生ホッピー・数種の日本酒、日替り献立と共に静かに商わせて頂いております。尚、同じ屋号の酒場が御座いますが、当店とは無関係の酒場で御座います。店主敬具