商い中を告げる行燈に、
明かりが灯された夕刻の日曜日。
ひと席、またひと席と埋まってゆく中、
ガラガラ♪と引き戸を開ける音が、火入れの
作業中背を向けていた方面から、聞こえてきた。
たまたま空いていた…、
そのひと席に腰を下ろした主、
それは谷口酒造のぐっさんだった。
まぁ、ぐっさんと呼ぶのは私くらいなもので、
古い付き合いというか、何というのか、
お互いが面白い距離感の中で、古くから
信用されてる?されてんのか?そんな
間柄でもある。
忙しく料理を拵え、酒を拵える日曜の店内。
谷口さんは、自蔵の銘柄が炭酸割りに、
向いているのか、向いてないのかを、
意見を聞きたかったようだ。
炭酸割り…つまりソーダ割りだが、
合う銘柄と合わない銘柄というのが存在する。
少しだけ、手隙になった頃合いを見かけて、
先日、大島から送って頂いた御神火芋を、
私ながらの見解の中で、谷口酒造の銘柄を、
炭酸割りに仕上げてみた。
谷口:さつまいもが…。
主人:うん。そっすね。
やはり…さつまいもが変わりましたね。
でもコンセプト枠の範疇には、
留まってますから、何とかしますよ。
セブンイレブンで売られていた強炭酸を
テイスティング。発泡の比率を探りつつ、
銘柄から逆算して、イメージを整えてゆく。
2種の異なる水と、更に異なる炭酸を、
混ぜ合わせ、御神火芋のスペックを上げさせて
もらった日曜日でもあった。
主人:やはり…。炭酸割りに向いているか?
と言われたら、向く向かないではなく、
ポテンシャルは半減しますよ。
ただ…。
炭酸2種、異なる水2種の混合比率で、
割られた御神火芋を、更に火入れを行った。
それは銘柄の謎を解明する事にも繋がり、
その仕立て間もない風味を、
ひとつひとつ、目の前の蔵元に吟味してもらう。
造り手が造った銘柄を、私が仕立てる。
それは2004年から何も変わってない。
御神火特有のエグ味や苦味、用いた品種芋達、
瓶の中で眠っていた性格を呼び起こし、
全てを融合させてこそ、御神火の製品
ブランドになる。
どう例えれば良いのかは、わからないが、
谷口酒造の製品向上に、微力ながら私が役に
立っている事がありがたくもあり、
それが古くからの関係なんだと、
思う今日この頃でもある。
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