BETTAKO -其の171-

献立の連番が、このところ続いた。
久しぶりに、もう1人の主人として綴る。
店の目の前に佇む家屋は板橋区。
店が佇む場所は北区。
車や人が行き交う信号機のある通りから
私道の路地裏でひっそりと営む。

大した事も特別な事もしている訳ではない。
ただ…。時折、焼酎を醸する人が
多々と暖簾を潜る晩もある。

L字のカウンター、ちょうど真ん中に
腰を下ろし、話の時を互いが待つのも
これまた心地よいものである。

焼酎を醸す人が訪れる…それというのは
それ相応の理由があってのこと。

焼酎を置けど、その捌き乏しい街で
営むというのは実に面白い。
肴で選ぶか、酒で選ぶか、雰囲気で選ぶか
どれか一つ、当て嵌まる軒端はあるが、
三つ巴の軒端は、見つけるのは難儀である。

焼酎に比べれば、日本酒はありがたい。
日本酒に比べれば、焼酎は上がり框が高い。
何気ない動きの中仕上げ、客人は何気なく
嗜む。人の心の中で、喜びと発見が伴えば
焼酎を醸す人であろうと、暖簾を潜れば、
古参も新参も私には関係なく、
芸のひと握りを裾分けできたことだけで、
主人として商い名利につきる。

新たな流行が訪れれば、この街の軒端も
また変わるのだろう…。

酒場BETTAKO

昭和56年創業。池袋東口で長きに渡り営み続けてきたBETTAKOは2017年12月に一度幕を下ろし、2018年2月JR板橋駅東口徒歩3分程、滝野川の路地裏で、本格焼酎・樽生ホッピー・数種の日本酒、日替り献立と共に静かに商わせて頂いております。尚、同じ屋号の酒場が御座いますが、当店とは無関係の酒場で御座います。店主敬具