軒先の青竹が水を頬張る。その余った水で
打ち水をしながら、斜向かいの古いパン屋の
おじさんと立ち話。
さて…。
日が落ち始めた頃、行燈の明かりを
灯させてもらった。
お待ちしていた方々には申し訳ない。
まだまだこの街では青二才な店。
暖簾を潜って頂く方達に日々感謝しかない。
どう飲んだら美味しいのか。
手間をかけましょうか?
蔵元や焼酎を知る者、いろんな人達が
この暖簾を潜られる。
曖昧やいい加減は、BETTAKOという
看板を背負う限り、店内には独特の
緊張感がある。
日中気温が36度。多少下がる頃に
燗を頼まれることもある。
どうしましょ。
辛くしますか?甘くしますか?
辛くしてくれる?
正味、昨今の25度瓶中は甘味が強い。
極力、甘味に蓋をし辛味を浮き立たせる、
裏味にメリハリを付けるため、麹の風味、
酵母の特徴を密かに結びつけてあげ、
嗜みの見計らいで、その銘柄の最適な
温度帯を引き出してゆく。
時には、品板から肴を選びその肴に見合う
味を求められる事もある。
そんな昨夜も、柑橘の香り漂う蒸溜酒の
微量の燗を頼まれた。柑橘の風味を残しつつ、
麹と酵母の旨味を結びつける。
香り強きモノは、とある手法を使うと、
その銘柄のコンセプトが判する事ができる。
その短所を長所に結びつければ、瓶中の酒も
喜んで応えてくれる。
ふと、懐かしさに苛まれる。
これこそがBETTAKOの初心ルーツであり、
銘柄の知識だけでは表現すらできない。
ブームで眠りから呼び覚まされ、再び眠りに
ついた焼酎という世界観が、路地裏の一角で
繰り広げられている。
昨夜もいろんな人達に、瓶の中の面白味を
お裾分けできた事、生産農家、製造蔵元に
代わりまして、感謝申し上げます。
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