BETTAKO -其の190-

おはようございます。1月も終盤ですね。
そんな火曜の朝。体内リズムなのでしょう。
いつものように、仕入れの時間に合わせて、
目が覚めた朝です。

とはいえ、月曜日〜水曜日まで休みを
頂いておりますが、ご不憫おかけ致します。

先週…。
酒業界に精通している客人が視界を跨いだ。
献立板から二品と、本格焼酎をお好みで…。
という注文の入る。

店主▶︎ウチは小洒落た銘柄は御座んせんが、
お好みでとなると…。飲み方はどのように?

客人▶︎今日は冷えますからね。
温かくして飲みたいところです。

店主▶︎では、燗でどうでしょうかね。
辛め?甘め?どっちにします?
客人▶︎あー。じゃ甘めでお願いします。
店主▶︎香ばしさは要ります?
客人▶︎香ばしさはいいです。あっ!
後味スッキリな銘柄でお願いします。

店内と包丁と俎板が差し引く音が
カウンターの向こうには、どう伝わっているのか
それは、カウンターに腰を下ろした
人でなければわからないだろう。

なめろうを叩く音の合間に、客人から
お声をかけられた。

客人▶︎こちらは古くからですか?
店主▶︎来月で移り転んで4年目ですよ。

客人▶︎東京では珍しい銘柄が多いですね。
店主▶︎この酒達で29年。商いで20年、
持ちつ持たれつでやって来ましたからね。

匂いでわかるね。
酒の酒に詳しい人の匂いというものはね。
まぁ話を重ねる塩梅っちゃうものは、
その人とのその時折によって違う。

店主▶︎ハイよ。
そう一枚板檜のカウンターに置かれた、
下平猪口に技量を詰めた酒を注ぐ。

客人▶︎……………。

間隔を空けた席から。
池袋時代からの常連と地元の客人が
話を重ね声が聞こえる。
酒場はそれ相応の緊張感というものが、
初見にはある。誰もが入りやすい店よりも、
玄人好みの酒場が、この路地裏では丁度良い。
酒と肴を客が選んで、仕立てていく。

時の流れは、その客人の体内の時計でもある。

客人▶︎ごちそうさまでした。お会計で。
店主▶︎雨降る夕刻にありがとう御座いました。
客人▶︎いえいえ。堪能させてもらいました。
BETTAKOさんの噂は予々…お店も綺麗で…
また来ます。
店主▶︎いえいえ。夫婦で切り盛りするには
丁度良い広さの酒場ですから、また。

酒を好む、酒に属する、酒場を好む。
いろんな人達が、ウチの暖簾を潜り敷居を跨ぐ
時として、酒業界に精通する客人や、噂を
聞きウチを選んだ意味合いは、蔓延した
知識ではなく20年培った技量で、もてなすのが
BETTAKO流の客への礼儀でもある。

酒場BETTAKO

昭和56年創業。池袋東口で長きに渡り営み続けてきたBETTAKOは2017年12月に一度幕を下ろし、2018年2月JR板橋駅東口徒歩3分程、滝野川の路地裏で、本格焼酎・樽生ホッピー・数種の日本酒、日替り献立と共に静かに商わせて頂いております。尚、同じ屋号の酒場が御座いますが、当店とは無関係の酒場で御座います。店主敬具